リリース:2017年4月
レーベル:Star music
フォーマット:CD
ディスク枚数:1
歌詞カード:あり
収録曲:
01. I Will Survive
02. I'll Never Love This Way Again
03. You Make Me Feel Like A Natural Woman
04. Kung Kailangan Mo Ako
05. Kahapon Lamang
06. Tao
07. Take Me Out of the Dark
08. Lean On Me
09. Regalo
10. 'Di na Atin (by 6cyclemind feat. Karla Estrada)
一口メモ・・・
1980年代後半から女優として活躍しているKarla Estradaのこれが(多分)初となるアルバムです。
レイテ島はタクロバン生まれのKarlaはフィリピンのドキュメンタリードラマ(MMK)でも取り上げられたくらいの波乱万丈の人生を歩んでいますが、あまり知られていないのが最初はシンガーとしてスカウトされたこと。
芸能界ではほとんど女優として活躍しと、息子に人気絶頂のDaniel Padillaがいることなどから歌の世界よりもドラマ・映画の世界の人と思われがちですが(そしてそれは十分に正しいのですが)舞台やスポットで出演する歌番組で披露する歌は世界的にレベルの高いフィリピンでも指折りの実力を持っている一人。これまでアルバムをレコーティングしていなかったのが不思議に思われるほどです。
アルバムには70年代の名曲をメインに書き下ろしの新曲や現在シングルチャートの上位に位置している、ポップロックバンド6cyclemindとのコラボ曲などを収録。
「打ち込み」を一切使わず全てミュージシャンによる演奏で、あえてミックス(全体のサウンドバランス)も1980年代風となっています。
まずトラック01、グロリア・ゲイナーが大ヒットさせたディスコクラシックのリメイクですが、アレンジは90年代のR&Bシンガー シャンティ・サベージのバージョンをベースにしていて、70年代後半から80年代のAOR系なサウンドとなっています。「Baby Come Back」のプレイヤー(バンド)などがお好みの方には直球ど真ん中のサウンド、バックの歌心満点の演奏に温かでエモーショナルなKarlaのボーカルがたまりません。最高にカッコよく最高にソウルフルな、奇跡のリメイク、21世紀の現在にこんなアレンジが新録音としてレコーディングされていること自体も驚きです。
続くトラック02は息子Daniel Padillaが主演したヒット映画「Barcelona」のテーマソングとしてGary ValencianoとJonaがレコーディングしたディオンヌ・ワーウィックのヒット曲「I'll Never Love This Way Again」。このトラックも70〜80年代的なAORアレンジで、ギターのサウンドなどユーミンの初期のヒット曲に参加していた鈴木茂さんを彷彿させる音作りとフレーズ。チャカ・カーンのようなボーカルもたまりません。
トラック03はキャロル・キングの代表曲の一つでアレサ・フランクリンバージョンの大ヒットで知られているNatural Woman。この曲はゴスペル仕立て。爆発的なクライマックスも素晴らしいですが抑制の効いた部分のコントロールも最高でこの強弱の出し入れが鳥肌ものです。
トラック04からはフィリピンのオリジナル曲。Rey Valeraの美しいメロディ展開とハスキーなKarlaの声に思わず胸に熱いものがこみ上げてきます。
George Cansecoの名曲トラック05に続いてはSampaguitaの大名曲Tao。風のように、川のように流れるバックのアレンジに身をまかせるように歌うKarlaのボーカルがなんとも温かく、ロック的なリメイクとはひと味もふた味も違う出来栄えとなっています。
続くGary Valencianoのオリジナル曲もクワイアを従える形で荘厳な雰囲気。
ビル・ウイザードのLean On Meの後、トラック09は2015年のクリスマスソングでNyoy Volante作曲、Karlaの唯一のオリジナル(初出)曲でもあります。
ラストは現在シングルチャートにランクインしている曲ですが、ポップバンド6cyclemindの楽曲でKarlaはゲスト参加なのですが、このアルバムだけに収録されています。
1970年代後半から1980年代中盤にかけてのお洒落で温かみのあるAOR〜ちょっとソウルフルなアメリカンポップスやそれに影響された日本のポップスサウンドがお好きな方にはぜひ聴いていただきたいナイスアルバムです!